ルール工業地帯へ(ツォルフェアアイン炭鉱群)

2013年12月5日、フランクフルトからコペンハーゲンへ夜行列車で出発!
のはずが、この日、デンマークやスウェーデンに猛威をもたらしたOrkan(暴風)の影響で、列車が運休。次の日も運行の目途がたたないというドイツ鉄道の見解だったため、泣く泣くコペンハーゲン行きを断念。コペンハーゲンでは、フィンユールの自邸を見学する予定でした。
計画変更となれば、切り替えは早いです。ドイツ鉄道は、出発の3日前までで空席があれば、割安で列車に乗ることが出来ます。3日後に列車でオランダへ行く予定にし、フランクフルトとアムステルダムの中間にある世界遺産にも登録されている炭鉱郡跡のあるエッセンという街をバスで訪れることにしました。

ツォルフェアアイン炭鉱群では、1990年前半までコークス生成工場として可動していた工場群跡の見学ツアーに参加してきました。敷地も広いですが、工場自体もかなりの大空間です。100メートル以上も深い場所から石炭を掘り出すことも大変な作業ですが、それだけの深い場所から引き上げる技術、加工する技術、当時の最先端の技術を駆使した、ものすごいヒューマンパワーとものすごいマシンパワーで、皆が作業していたかと思うと興奮します。12月初旬で、断熱材もなく暖房もない建物の中は寒々としていましたが、何重にも走るパイプの数々を見ると、稼動時にはものすごい熱量で熱気立っていたことだろうと実感します。
敷地内の別の建物は、博物館として利用されていました。レッド・ドット・デザインミュージアムがあり、優れたデザインに送られるレッド・ドットデザイン賞を受賞した工業製品が展示されていました。工場内の機械や何かのメーター、冷却水などのパイプ跡などもオブジェのように静かに佇んでおり、当時は音をたて湯気を出し稼動していたのだろうと思いながら展示品と平行して鑑賞していました。

敷地内の建物は元工場ということもあり、赤い鉄骨の骨組みをレンガの壁で塞いだだけという、いたってシンプルな構造。そのシンプルさがかえって美しいです。今であれば、断熱材や窓との取り合いや雨じまいなど考えると、鉄骨とレンガという異素材をそれぞれ生かしたデザインの組み合わせで、ここまで平らなファサードは難しいのかな。