11月中旬よりドイツのフランクフルトを拠点にヨーロッパを旅しています。旅の始まりはデッサウのバウハウス。少し前、1926年に建設された当時の学生寮が改修され、今年の10月から宿泊施設として提供され始めたということをニュースで知りました。以前から気になっていたこともあり今回、思い切って訪れてみることにしました。
フランクフルトからICE(高速列車)でライプチヒに向かいRB(快速列車)に乗り換え約5時間半、駅から徒歩約10分で到着。1926年に建設された今でも古臭さを感じないバウハウス建物群のファサードが見えてきます。各部屋の窓からから飛び出た片持ちの"Französchische Balkon"(フランス式バルコニー)のある建物が当時の学生寮です。
内部は赤・青・黄色・黒やグレイなどの色を用い、手すりや梁などの機能部分を立体造形要素として用いシンプルに構成されています。一応、階段室は階ごとに位置的にわかりやすくするためでしょうか異なる色で塗り分けられています。特に色使いの意味はなく、バウハウスの教育方法でもあったように、どう空間が格好良く見えるかというのを実験的に試したかったようです。
部屋は机・椅子・棚・ベット・手洗い器のみ。シャワー室・トイレは共同です。 インダストリアルな雰囲気を醸し出す鉄製窓枠がカッコ良く眺めもいい部屋です。窓は当時のまま、ガッチリ閉まる断熱サッシではありません。そのせいか、暖房は良く効いているのですがなんとなく部屋は寒かったです。世界遺産にも登録されており、ほとんど1926年当時の仕様のままのようです。隣部屋の人の鼻をかむ音が聞こえたりカギを開ける音が聞こえたり遮音性が良くないのが気になるところではありますが、清潔で明るい部屋なので過ごしやすいです。
バウハウス校舎から徒歩で15分ぐらいのところに、Meisterhäuser(マイスターハウス)というグロピウスの設計したカンディンスキーやパウル・クレーなどの教授陣が住んでいた住宅があります。こちらもシンプルでモダンな時代を感じさせない建築です。内部も家事などの作業効率を考えた平面計画であったり、グロピウスが各部屋に機能を持たせたかったというコンセプトの下、造り付けの家具が備わっています。小さな書斎や開放的なアトリエがあったりと空間的にもメリハリがあり見応えがあります。
Meisterhäuserの敷地の入り口にあたるところにはミースのデザインしたTrinkhalle(飲み物やスナックなどの買える売店)も復元中で、これからデッサウはますます建築ファンにとって面白くなりそうです。
バウハウスは、そこで当時生み出された工業デザインにしろ建築にしろ何かと気になる存在。バウハウスは少なからず私がドイツで建築を学ぶきっかけになった学校です。私が建築という分野に興味を持ち始めたころ学んだ私の師匠の師匠はバウハウス出身。デッサンや基本的な造形技術を学び、その鍛錬を実験的に繰り返し自らのデザイン法を模索する教育方法はとても興味の持てるものでした。
今、建築という仕事に携わり紆余曲折ある日々ですが、初心を忘れず自分たちのスタイルが早く確立できるよう頑張ろうと思いつつ訪問したデッサウのバウハウスでした。